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AZUMAYA
旧東屋酒造店について
旧東屋酒造店について
国有形文化財(平成31年3月29日指定)

名称(建設年代)
  • 旧東屋酒造店店舗兼主屋(明治後期/大正前期・昭和48改修)
  • 旧東屋酒造店酒蔵(江戸末期/昭和28頃改修)
  • 旧東屋酒造店質蔵(江戸末期)
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旧東屋酒造店の主屋内部

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旧東屋酒造店の質蔵

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旧東屋酒造店の酒蔵内部

 
特徴等
 
旧東屋酒造店は文政7年(1824)創業の元造り酒屋で、当時の市街地の中心部に位置しています。主屋は街路に西面して建つ入母屋造り妻入りの二階建てで、正面は北端の座敷部分を下見板張りとする以外は開口を広く取り、繊細な格子を並べています。主屋背面に土蔵造り平屋建ての酒蔵、主屋の北側に土蔵造り二階建ての質蔵が並び建ち、旧市街の歴史的景観を形成しています。
400年前の大津波からの復興まちづくりと今に続く、防災の歴史
 
東屋のある宮古市本町は、1611年(慶長16年)に発災した巨大地震、慶長三陸地震による津波で、地域が壊滅的な被害を受けた後の、復興の都市計画として整備された地区です。史実を伝える資料が少ないのですが、現在の宮古市中心部に重ね合わせると、東日本大震災の浸水域を大きく超えるとされる津波が一体を襲いました。人々は、この絶望的な困難を教訓に、海の恵みを得やすい場所でありながら、災害の影響を受けにくいこの地を、町の発祥を意味する「本町」(もとまち)と名付け、新たな街づくりを始めます。この地は、400年前の人々が懸命に取り組んだ、今に残る復興の軌跡です。その後も度々地域を襲った地震と津波。さらに大火、一揆などの騒乱・戦争、時代の変化を乗り越え、今に続く東屋と本町。そして何より200年にわたり建物を維持、継承されてきた東屋の先人と当代、地域のみなさまにあらためて敬意を表します。
 
 
三陸沿岸部における文化財の希少性と背景
 
岩手県における、国宝や重要文化財を含めた建造物の文化財は160件(昨日現在の県データベースの情報です)、その中には、もちろん国宝の中尊寺金色堂や、重要文化財の盛岡中ノ橋の旧岩手銀行本店など、多くの方に知られた文化財が含まれます。この160件のうち、沿岸部の市町村で絞り込むと、重要文化財の指定は無く、陸前高田市の普門寺三重塔(岩手県指定)、吉田家住宅(岩手県指定)、酔仙酒造本社事務所、酔仙酒造守衛所、酔仙酒造購品及び用度品倉庫、釡石市の旧釡石鉱山事務所、宮古市の盛合家住宅主屋、久慈市のアレン記念館、(以上国有形登録文化財)のわずか8件です。そのうち吉田家住宅、酔仙酒造の3件は、東日本大震災の津波で流出したため(酔仙酒造は登録が抹消され、吉田家住宅は現在関係者によって復元の取りみが進められています)、現存するものはわずか4件のみとなっています。これらのデータが示すように、旧東屋酒造店は、災害の多い三陸沿岸の地で今なお残る希少な歴史的建造物の一つとなっています。
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